前回の続きです。
さて縮んだセーターは幸いにもほとんど元に戻りました。
どのように作業したのかというと
1,採寸しておく
まず、洗う前に着丈、袖丈などの寸法を測っておきます。どのくらい伸ばしたいのか今の寸法を 記録することで修正しやすくなりますから絶対必要なことですね。
2,ドライクリーニングで洗う
お客様は家庭の水洗いで縮ませてしまったとのこと。水洗いだと「洗濯機の機械力がウールを縮 ませる」と前回お話ししましたが、ドライクリーニングの場合、機械力があってもほとんど縮み ません。
これがドライの大きな利点なのです。なので、今回はドライでソフトに洗ってみました。
3,自然乾燥
通常、ドライクリーニングの後は約50℃の乾燥機に入れ20分ほどで乾燥させます。ただ、一 度縮んだウールには急激な乾燥は良くないので、自然乾燥でゆっくり乾燥させました。
4,アイロン仕上げ
さて、この段階でまだ「縮み」は戻っていません。ここからが問題ですね。
アイロンを前身頃の裏からかけます。スチームはほんの少しずつ。
つまり。アイロンで軽く押さえながら、しかもスチームはほんの少しずつ出しながらシワを左手 でそっと伸ばしながら押さえていきます。左手で強くひっぱりすぎると、シワが一旦伸びてもま た元に戻ってしまうので、ほんの少しずつ伸ばしていくのがポイント。
クリーニング店のアイロン台はプレスでスチームをかけた後、「バキューム」という熱を冷やす 機能が付いています。この機能はスチームで柔らかくなった繊維をアイロンの重みで伸ばした後、 「冷やして固める」こと。これは家庭用アイロン台には無いことです。
髪の毛をセットするにも、ドライヤーで形を整えたあと冷やしながら押さえるときまりませんか?
あの感じに似てますね。
これで、今回はほとんど元の状態に戻すことができました。でも、やはり、
「ウール100%」を水洗いするときは洗濯機を使わず絶対「つけ置きの手洗い」がオススメです よ。
おうち洗濯でウールセーターを洗う時ってどうしてますか?洗濯機で洗う?
先日初めて来店したM様。数点持ち込まれた中のセーターを取り出し
「実はこのセーター洗濯機の『手洗いコース』で洗ったんですよ。そしたら前見頃のあたりが縮んでしまって。だって手洗いコースなら弱洗いだから大丈夫かと思ったんですけど、直りませんか?」
以前にもお話ししましたが、セーターが縮む原因は洗剤の種類でも洗う水の温度でもありません。
「機械力」なんです。
そもそもウールの毛の1本1本はスケールと呼ばれる魚のウロコ状になってる。水に濡れるとこのウロコがパッと開く。水の中で開いても静かにしていれば、乾いた時にそのままウロコは戻るんです(ウールセーターをつけ置き洗いするとこの状態なので縮まない)。ところが、機械力で揺れるとこのウロコ同士が絡む。絡んだ状態で乾くと元に戻らない。これが「縮んだ」とか「硬くなった」ということ。
だから「ウール100%」に限ってだけど、『洗濯機で回しちゃ絶対ダメ!』。たとえ『手洗いコース』でもダメなのです。今回のセーターの品質表示タグには「30℃の手洗いマーク」とある。間違えやすいのですがこれは「洗濯機の手洗いコースOK」ではありませんよ。あくまで人の手の「手洗い」「つけ置き洗い」を意味しています。
もう一度おさらいですが、ウールセーターをもし洗うなら
「30℃のお湯に中性洗剤で30分程度つけ置き」⇒ 「30秒脱水」⇒ 「水で静かに軽くすすぐ」⇒「30秒脱水」⇒ 「水で静かに軽くすすぐ」⇒ 「30秒脱水」⇒ 「平干し」
とにかくウール100%は洗濯機を使わない方が安全でしょう。回される衝撃がウールは大の苦手なんです。大事に優しく扱ってくださいね。
手洗いの文字があれば、洗濯機は使えません!
前見頃の部分が縮んでしまいました。
柳屋の集配は2通り。
1つ目は「定期便」。月曜日と金曜日に小田原市内のコースを回っているので週1回~2回、毎週定期的に伺います。電話しなくても必ず寄るので便利!
2つ目は「その時便」。季節の変わり目など出したいときだけお電話頂ければすぐ伺います。
柳屋の集配の歴史は古くもう60年以上続いてるんです。そもそも、クリーニング業界では今のようにチェーン店など沢山の店舗はありませんでした。ほとんどの個人店は集配のみで営業していたのです。柳屋も先代が集配から始めました。集配のいいところは、かさばる洋服を玄関まで届けてくれる、布団やカーペットなど重いものを玄関まで届けてくれるなど色々ありますが、やはり「シミや汚れなど、伝えたいことがしっかり伝えることができる」という点でしょう。集配の場合、わりとゆっくり話せるので気になることは何でも言って頂けると思いますよ。
最近寒くなってきました。以前は秋というと夏物だけクリーニングに出す方が多かったのですが今は違いますね。秋にはこれから着る冬服をドッと出す人も多いんです。つまり春には衣替えクリーニングしてなくて秋に洗うんですね。もう春と秋の「衣替え」という常識は無くなっているようです。
もし、この春洗い忘れたコートなどあれば冬の前に一度クリーニングすることを絶対お勧めします。汚れが残っていれば虫食いやカビの原因となってしまいます。
便利な集配をぜひぜひ御利用下さいませ!
カシミヤも安心!
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